サッカー部に加え、競走部も社団法人を設立した明治大学体育会。そもそもなぜこうした社団法人を設立の流れが来ているのか。その理由や意義などを明大アスレチックマネジメント(以下、MAM)の理事も務めている西山春文副学長に伺った。
計46部が所属する明治大学体育会。競走部をはじめ、強豪と呼ばれ伝統もある部活動も多い中、問題を抱える部も多く存在する。特に重大なのが予算問題だ。大学はあくまで教育・研究機関であるため、スポーツにばかり予算をまわすこともできない。だからこそ、サッカー部や競走部はその問題を自分たちの手で解決するべく、収益事業を兼ねた一般社団法人を設立した。
西山副学長は予算問題について「スポーツパーク構想が廃案とされた影響は大きいものです。10年以上もお待ちいただいた部もありますから。ここからは順番付けして段階的に進めていくしかなく、本学の大きな宿題だと感じています」と話す。加えて問題視しているのが体育会の使用できる物理的な面積。「体操部とバドミントン部は同じ体育館ホールを分け合って練習してもらっています。生田キャンパスの水泳部のプールもそうですね。ヒビが入ったりするたびに修繕していますが、大幅な修繕には厖大な予算が必要となります。スポーツパーク構想が無くなったことにより、当面は授業と住み分けをして使いながら、新しいプランを構想していきたいと思います」。体育会活動と大学の授業双方を視野に入れつつ、限られたスペースを将来に向けていかに有効利用していくか。そこに西山副学長は打開策を見出している。
こうした体育会部活動による後援社団法人の設立の目的は経済支援だが、学生のキャリア支援にも明治大学は目を向けている。「一生懸命スポーツに取り組んできた人たちが、必ずしも順風満帆に進んでいくとは限りません。その時の就職の手伝いやセカンドキャリアのサポートのためのネットワークを広げていきたいと思います」とスポーツに取り組む学生のキャリアも支える団体を目指す西山副学長。「そういう意味ではスポンサーの存在は大きいです。スポンサー企業からは『ぜひ明大生を採用したい』という声もいただいています。たまたま私が学生部長であり就職キャリアセンター長でもあったのでその話も繋ぎました」と実際に動き出している。こうした社団法人が第2の就職キャリアセンターになる日がくるかもしれない。
スポーツ学生への支援基盤を着実にかたちにしていくなかで、西山副学長やMAMの理事の方々が話すのが【人間力】だ。「スポーツから離れることはあっても、それまでスポーツで培ったものを別の方向へと転換していくためには総合的な人間力を培う必要があると思います」。社会に出るうえでスポーツを通して得た経験をマルチに活かせる人材。この基礎となる【人間力】について具体的に問うと「決して特別なことではありません。健全な日常生活を送り、コミュニケーションを互いにとりあい、困った時に助け合う。スポーツだったら肉体的限界をいかに乗り越えていくのかをしっかり自分で考えていくこと。ラグビーなども試合中には監督からの細かな指示は基本的にはないわけですから。自分で考えてチームで動く、これはスポーツに限らずあらゆるところで生きてくることだと思います」。
社会に出ても個人が出せる成果には限界があり、最終的には他人と協力するチームプレイで大きな成果を生み出すことになる。そうしたチームプレイのなかで【自分がすべきことは何なのか】を日頃から考えるスポーツにも、教育の一つとして真剣に注力していく。こうした環境を整えるために必要なのは多くの人々からの支援の手だ。「私達は教育としてスポーツを捉えています。皆さんが支援してスポーツ選手が強くなれば社会で活躍する人材が増えるわけですし、結果として明治大学の名前も上がるでしょう。そうした意味でもたくさんの方に明治大学のスポーツの応援に参画していただきたいと思います」。
ただ大会成績などの成果に対してだけ支援を求めるのではなく、スポーツを通した教育の場を守るための支援を募る。支援の見方を変える岐路に学生スポーツは立っている。
【聞き手、書き手:金内 英大】
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